栃木県 > 日光・鬼怒川(鬼怒川温泉) > あしおトロッコ館
あしおトロッコ館は、栃木県日光市足尾町に位置する、全国的にも非常に珍しい「トロッコ専門」の鉄道博物館です。かつて足尾の街中を実際に走っていたガソリンカーや、旧日本海軍で使用されていた内燃機関車が牽引するトロッコ列車など、他ではなかなか見ることのできない車両を間近で体験できる、個性豊かな施設として鉄道ファンのみならず多くの観光客を魅了しています。
足尾銅山とともに発展してきた足尾の歴史は、鉄道と切っても切り離せない関係にあります。あしおトロッコ館は、そうした地域の記憶を今に伝え、次世代へとつなぐ役割を果たしています。
わたらせ渓谷鐵道通洞駅から徒歩約5分の場所にあるのが、あしおトロッコ館の本館です。本館は2階建ての建物で、我が国唯一のトロッコ専門鉄道博物館として知られています。
館内には、実物車両だけでなく、鉄道模型や鉄道おもちゃなど、他の鉄道博物館ではあまり見られない多彩な展示が並びます。鉄道の仕組みや歴史を楽しみながら学べる工夫が随所に施されており、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる空間となっています。
2階には、わたらせ渓谷鐵道を再現したNゲージジオラマが設置され、渓谷沿いを走る列車の風景を精巧に再現しています。また、迫力あるGゲージのトロッコ模型も展示されており、模型ファンにとっても見応えのある内容です。
本館の裏手には野外展示場があり、全国各地から集められたトロッコ車両が保存展示されています。これらの車両は、単なる静態保存ではなく、実際に動く動態保存が大きな特徴です。
敷地外周には「足尾ガソリン軌道トロッコ本線」と呼ばれるエンドレスの保存鉄道線が敷かれ、1953年(昭和28年)まで足尾の街中を走っていたガソリンカーや、旧霞ヶ浦海軍航空隊に所属していた加藤製作所製4トン内燃機関車が、トロッコ風の客車を牽引して運行されます。
これらの列車は来館者に限り無料で乗車可能で、エンジン音や振動を体感しながら、かつての足尾の鉄道風景を追体験することができます。
あしおトロッコ館は、本館だけでなく、わたらせ渓谷鐵道・足尾駅構内に保存されている車両群の管理も行っています。足尾駅は、かつて足尾銅山で働く人々の生活物資や鉱産物が集積された重要な物流拠点でした。
駅構内には、約100年前に造られた貨物ホームや多数の側線が今も残され、その線路上に10両もの保存鉄道車両が並んでいます。保存されている車両には、キハ35形気動車、ディーゼル機関車、タンク車、車掌車などがあり、ほとんどの車両が動態保存されています。
春と秋の年2回行われる一般公開では、これらの車両が何度も展示線を走行し、現役時代さながらの勇姿を披露します。公開日以外でも、外観は無料で見学できるため、鉄道遺産を身近に感じることができます。
足尾駅は、栃木県日光市足尾町掛水にある、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線の駅です。趣ある木造駅舎やプラットホーム、貨物上屋、保管庫などの設備は、2009年(平成21年)に登録有形文化財に指定されました。
駅構内とその周辺だけでも複数の登録有形文化財が点在し、駅全体がまるで屋外博物館のような佇まいを見せています。さらに、2016年度には土木学会選奨土木遺産にも認定され、鉄道史・土木史の両面から高い評価を受けています。
足尾駅は、観光列車「トロッコわたらせ渓谷号」の始発・終着駅のひとつでもあります。群馬県桐生市から日光市足尾までを結ぶ44.1kmの路線は、四季折々の渓谷美を楽しめる絶景路線として知られています。
その終点・間藤駅のひとつ手前に位置する足尾駅は、山々に囲まれたのどかな雰囲気が魅力で、空きホームに保存車両が並ぶ光景は、往時の繁栄を静かに物語っています。
足尾駅周辺には、鉄道遺産だけでなく、古河掛水倶楽部という歴史的建造物もあります。これは古河鉱業の迎賓館として建設された建物で、大正初期に改築され、外観は洋風、内部は和洋折衷という独特の様式を持つ2階建てです。
現在も福利施設として利用されていますが、土・日・祝日に限り一般公開されており、足尾の近代化の歴史を今に伝えています。
あしおトロッコ館と足尾駅周辺は、単なる観光スポットではなく、足尾銅山と鉄道が築いた産業と暮らしの歴史を体感できる貴重な場所です。実際に走る保存車両、歴史ある駅舎、そして渓谷の自然が一体となり、ここでしか味わえない時間を提供してくれます。
鉄道ファンはもちろん、歴史や文化に興味のある方、家族連れにもおすすめの観光地として、あしおトロッコ館は訪れる価値の高い施設といえるでしょう。