元禄2年(1689年)、俳句の巨匠 松尾芭蕉が奥の細道の旅で日光を訪れ、この滝を見て「暫時は滝にこもるや夏の初め」という句を詠んだことで知られる、高さ約20メートルの裏見滝。
この滝は、大谷川の支流である荒沢川の上流に位置しています。現在は参拝することはできませんが、滝の裏には不動明王が祀られています。
日光は日本でも有名な滝の多い地域であり、その中でも華厳ノ滝、霧降ノ滝、裏見ノ滝は「日光三名瀑」と呼ばれています。
日常の騒がしさを離れて、ゆったりと日光三名瀑めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。自然が好きな方や癒しを求める方にとって、特におすすめの滝です。
裏見滝は、時には「裏見ノ滝」とも書かれます。この滝は、安良沢国有林の中に位置し、大谷川の支流である荒沢川に流れ込んでいます。その高さは19メートルです。昔は滝の裏側からも眺めることができたため、この名前がつけられました。華厳滝や霧降の滝と共に、「日光三名瀑」の1つに数えられています。なお、「奥日光名瀑三滝」は華厳ノ滝・竜頭の滝・湯滝のことを指します。
この滝は、崖の上半分が板状の輝石安山岩(第四紀)、下半分が流紋岩(第三紀)からなり、その間に厚さ約2メートルの赤褐色の集塊岩が存在します。日光三名瀑の他の2つに比べて規模は小さいですが、滝の中央部の集塊岩が浸食された部分に道が設けられており、滝を裏から観ることができるのは珍しい特徴です。
滝の裏側には、寛永元年(1624年)に出羽三山から迎えられたとされる不動明王像が現在もあります。また、松尾芭蕉は元禄2年(1689年)にこの裏見滝を訪れ、その滝についての記述や俳句を「奥の細道」に残しています。1902年(明治35年)には滝の上部の岩が崩れてしまい、それ以降は滝の裏側からの観賞が難しくなりました。芭蕉の句碑は、国道120号の安良沢橋の近くに建てられています。
松尾芭蕉
「暫時は滝に籠るや夏の初」
(しばらくは たきにこもるや げのはじめ)
少しの間、僧侶たちの修行の場でもあった滝の裏の岩窟に籠っていたら、まるで僧侶の修行のようだ、夏のはじまり
※夏籠り(僧侶の90日間、一所にこもって修行すること)
JR日光駅・東武日光駅より東武バス日光「湯元温泉」行きまたは「中禅寺温泉」行きバス乗車約15分、「裏見の滝」バス停下車、徒歩45分