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日光白根山

(にっこう しらねさん)

日光白根山は、栃木県日光市と群馬県利根郡片品村の境界に位置し、標高2,578mを誇る山です。日光火山群の北西端に位置する活火山であり、西方への溶岩流の上に主峰・奥白根(おくしらね)などの溶岩ドームが形成されています。深田久弥が選定した「日本百名山」の一つでもあり、火山噴火予知連絡会によって火山防災の観点から監視・観測体制の充実が必要とされています。また、日光白根山は北関東以北で最も高い山であり、中部地方に属さない山としても最高峰を誇ります。

名称の由来と特徴

『白根山』という名称は、古来より山頂が雪で白く染まる様子を表現したもので、日本各地に同名の山が存在します。そのため、他の白根山と区別するために「日光白根山」と呼ばれていますが、国土地理院の地形図には「白根山」とのみ記載されています。

日光白根山は、白根火山群の他の山々に囲まれており、また年間を通して雲に隠れていることが多いです。そのため、関東地方からは日光連山の稜線上にある奥白根山頂部のドーム状の突起物がわずかに見える程度です。冬季には、黒い山肌に雪が積もり、日光表連山の山々に比べてひときわ白い山体が現れます。

自然環境と保護

白根火山群周辺には、五色沼や湯ノ湖、湯滝、戦場ヶ原、小田代ヶ原などの自然の造形物があり、また貴重な高山植物も見られるため、山域は日光国立公園に指定され、保護されています。しかし、山に多く自生するシラネアオイをはじめとする植物は、現在ではほとんど見ることができません。また、周辺山域には立ち枯れが多く見られ、その原因が首都圏からの大気汚染物質の飛来であるとする研究もあります。

形成と火山活動

日光白根山は、日光火山群のうち唯一、歴史時代の噴火記録が残っている火山です。火山活動は約2万年前に始まり、山頂付近や座禅山付近、血の池地獄付近の3箇所から溶岩流や溶岩円頂丘が形成されました。約6,000年前以降、周辺に堆積物を残す噴火が6回以上発生したと考えられています。最後のマグマ噴火は約2,400年前に起こり、それ以降はすべて水蒸気噴火に限定されています。

有史以降の火山活動

日光白根山の有史以降の噴火記録にはいくつかの重要なイベントが含まれています。例えば、1649年には山頂火口でマグマ水蒸気噴火が発生し、直径約200m、深さ約10mの新火口を生成しました。また、1872年と1873年には、南西斜面での水蒸気噴火が記録されており、さらに1889年には白根山西斜面での噴火が報告されています。最近では、2001年と2011年に地震活動が活発化しており、火山活動のリスクが引き続き監視されています。

登山とアクセス

日光白根山には、栃木県側と群馬県側の複数の登山口があります。栃木県側には湯元温泉登山口や金精峠登山口があり、群馬県側には菅沼登山口や日光白根山ロープウェーの山頂駅登山口があります。登山道は複数あり、湯元温泉登山口から外山尾根を経由するルートや、菅沼登山口から弥陀ガ池を経由するルート、金精峠登山口から五色山を経由するルートなどが人気です。また、麓の丸沼から日光白根山ロープウェーを利用すれば、標高2,000m付近まで簡単にアクセスできます。避難小屋としては、栃木県側に五色沼避難小屋、群馬県側に七色平避難小屋が設置されています。

山岳信仰

江戸時代から明治時代にかけて、上州地方では奥白根山を「荒山権現」として祀り、信仰の対象とされていました。現在では、その信仰の名残として、前白根山山頂には前白根山神社が、奥白根山山頂には奥白根山神社が存在します。

日光白根山に由来する植物

日光白根山は、和名の名前の由来となっている植物の基準産地としても知られています。以下はその例です。

これらの植物は、日光白根山にちなんで名付けられており、山の自然環境と密接な関係があります。

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