栃木県 » 日光・鬼怒川(鬼怒川温泉)

憾満ヶ淵

(かんまんがふち)

渓谷美が美しい日光奥の景勝地です。周囲には日光東照宮や華厳の滝、鬼怒川温泉郷など、自然に囲まれた豊かな観光地が広がっています。日差しを浴びてマイナスイオンに満ちた渓谷美は、その美しさに魅了されること間違いありません。

憾満ヶ淵周辺には、「化地蔵」と呼ばれる約70体の地蔵群が点在しています。数えるたびに数が異なると言われる不思議な由来を持つ地蔵たちは、毎年2月に開催される「日光キャンドルページェント」で約3500本のキャンドルに照らされ、幻想的な光景を見せてくれます。

大谷川の小渓谷は、男体山から噴出した溶岩によって形成された奇勝です。川岸には巨岩があり、その上には晃海僧正によって造られた不動明王の石像が安置されていました。不動明王の真言の最後の句から「かんまん」という名前が付けられたと言われています。

さらに、南岸には数えるたびに数が異なる化地蔵と呼ばれる約70体の地蔵群が存在し、上流の絶壁には弘法大師が筆を投げて彫りつけたと伝えられる「かんまん」の梵字が刻まれています。

地蔵群の対岸には日光植物園があり、春の新緑から秋の紅葉、そして雪を被った風景まで、美しい自然の風光を楽しむことができます。

元禄2年(1689年)に芭蕉が裏見の滝を訪れた後、正午まで憾満ヶ淵の美しい景色を楽しんだとされています。

茶屋では、みそだれそばだんごがおすすめの逸品として味わうことができます。

憾満ヶ淵(かんまんがふち)または含満ヶ淵(がんまんがふち)は、栃木県日光市にある小さな渓谷です。大谷川沿いに位置し、慈雲寺境内と化地蔵があります。日光市の匠町および日光に所在しており、対岸には日光植物園があります。

この地形は、男体山から流れ出る溶岩によって形成されました。大谷川の急流が川床の巨石にぶつかり、黒い岩と白い水しぶきの対比が美しい景観を作り出しています。憾満ヶ淵は日光市の歴史的な名所の一つでありながら、栃木県民の間ではあまり知られていない場所です。

憾満ヶ淵は史跡探勝路「もうひとつの日光」の経路上に位置しています。このコースは、日光総合会館前から出発し、浄光寺を経由して憾満ヶ淵に立ち寄り、寂光滝を経て日光奉行所跡に至る約8キロメートル・徒歩3時間のコースです。浄光寺から憾満ヶ淵までの区間は住宅地ですが、史跡探勝路の一部として案内板が設置されています。

憾満ヶ淵の名前は、水の音が不動明王の真言を唱えているかのように聞こえることから、真言の終わりの語句「カンマン」を取って名付けられました。憾満および含満は当て字であり、「がんまんがふち」と呼ばれることもありますが、正確には「かんまんがふち」が由来に沿った名称です。

憾満ヶ淵は古くから不動明王の霊地として知られており、晃海僧正によって整備されました。晃海は慈雲寺や霊庇閣、不動明王の石像などを建立し、多くの人々が参拝や行楽に訪れました。松尾芭蕉も「おくのほそ道」の旅の途中で立ち寄った場所の一つです。1902年には大洪水が発生し、慈雲寺本堂や霊庇閣、一部の化地蔵が流されましたが、後に再建されました。

憾満ヶ淵は1986年にとちぎの景勝百選に選ばれ、「含満ヶ渕(憾満ヶ渕)」として認定されました。さらに、2014年にはおくのほそ道の風景地の一つとして日本国の名勝に指定されました。

催事

2000年代から2010年代にかけて、憾満街区公園や化地蔵を会場として、約3,500本のろうそくに火を灯すイベント「日光キャンドルページェント」が2月に開催されていました。2012年にはCANDLE JUNEがプロデュースを担当し、日光への訪問者数の低迷を受けて開催されました。2018年には「化け地蔵ライトアップ」として4月に開催され、慈雲寺の開帳と御朱印の配布も行われました。

テレビアニメ『プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜』では、2021年に放映されたエピソードのエンドカードに化地蔵が登場し、翌年にはそのエンドカードがはがきサイズのカードとして市内で配布されました。

交通

最寄りのバス停は、史跡探勝路「もうひとつの日光」の起点にある「総合会館前」です。バス停から徒歩15分から20分ほどの距離です。

2022年には東武バス日光が「日光グリーンスローモビリティ」という運行を開始し、「憾満ヶ淵・化け地蔵」停留所が設けられました。

名所旧跡

神橋から大谷川に沿って上流方向に進み、含満橋(含満大谷橋)を渡ると駐車場が現れます。駐車場からさらに上流方向に進むと、含満児童公園(日光市含満街区公園)と含満ストーンパークがあります。含満ストーンパーク一帯は、春にヤマブキやサクラの花が咲く名所として知られています。駐車場から伸びる歩道は化地蔵で行き止まりとなり、往復には徒歩約20分ほどかかります。

慈雲寺

慈雲寺は晃海が1654年に建立した仏教寺院です。輪王寺の1院であり、毎年7月14日には盂蘭盆会の法要が慈雲寺で行われます。

現在の白壁の本堂は1973年に再建されたもので、元々の建物は1902年の洪水で流失しました。本堂では阿弥陀如来と天海を祀っています。山門の手前には大正天皇の御製歌碑があります。

霊庇閣

慈雲寺本堂から上流に進むと霊庇閣があります。霊庇閣は憾満ヶ淵を見下ろす位置にあり、対岸の巨岩の上に不動明王の石像に向かって護摩供養を行うための護摩壇でした。洪水で流失した後、1971年に再建されました。霊庇閣の前だけは水流が緩やかになります。

霊庇閣の対岸には、「カンマン」の梵字が刻まれた岩があります。晃海が筆によって刻ませたものですが、「弘法大師が筆を投げて、岩に梵字を掘り付けた」という伝説があり、「弘法の投筆」と呼ばれています。

化地蔵

霊庇閣から上流方向に進むと、薄暗い木立の中に多数の地蔵が一列に並んでいます。これらの地蔵は化地蔵、並地蔵、百地蔵、百体地蔵などと呼ばれています。化地蔵は同じような地蔵が何体も並んでいるこるため、数えても数が合わないと言われています。これらの地蔵は天海の弟子たちによって作られ、川を向いて座っています。顔の向きや表情は個々に異なります。かつては約100体存在したとされますが、洪水によって一部が流され、現在は約70体が残っています。流された地蔵の中には、化地蔵の先頭に並んでいた親地蔵も含まれます。親地蔵は頭部のみが川床で発見され、市内の浄光寺に「御首」として安置されています。

Information

名称
憾満ヶ淵
(かんまんがふち)
リンク
公式サイト
住所
栃木県日光市匠町
電話番号
0288-53-3795
アクセス

電車・バス:JR日光線 日光駅または東武日光線 東武日光駅から東武バスで「安川町」下車徒歩約20分

車:日光宇都宮道路 日光ICから約10分

日光・鬼怒川(鬼怒川温泉)

栃木県