霧降高原は、栃木県日光市の市街地北方、日光国立公園内に位置し、女峰山の東山麓に広がる標高約1,200メートルの高原地帯です。赤薙山(あかなぎさん)の斜面に広がるこの高原は、豊かな自然環境と四季折々の美しい景観に恵まれ、一年を通して多くの観光客やハイカーに親しまれています。
高原内には、キスゲ平や霧降ノ滝をはじめとする名所が点在し、整備されたハイキングコース、キャンプ場、ゴルフ場、別荘地など多彩な施設が揃っています。自然と観光が調和したリゾート地として、カップルやファミリー、自然愛好家まで幅広い層が楽しめるのが霧降高原の大きな魅力です。
霧降高原は、ニッコウキスゲをはじめとする高山植物の宝庫として知られています。春にはマンサクやカタクリ、ツツジ類が次々と花を咲かせ、初夏から夏にかけては高原ならではの爽やかな空気の中で多彩な草花を楽しむことができます。特に6月下旬から7月中旬にかけては、ニッコウキスゲの見頃を迎え、約26万株ともいわれる黄色い花が一面に咲き誇る光景は圧巻です。
秋には高原一帯が紅葉に包まれ、赤や黄色に染まる山々と澄んだ空気が訪れる人々を魅了します。冬になると雪景色が広がり、スノーシューやウィンターハイキングなど、雪国ならではの自然体験も楽しむことができます。
霧降高原を代表する観光スポットのひとつが、日光市霧降高原キスゲ平園地です。この園地は、かつての霧降高原スキー場の跡地を整備し、環境学習と観光の拠点として2015年に開園しました。標高1,300メートルから1,600メートルにかけて広がる高原には、遊歩道や散策路が整備され、気軽に自然散策を楽しむことができます。
キスゲ平園地最大の見どころは、6月下旬から7月中旬にかけて見頃を迎えるニッコウキスゲの群生です。約26万株ともいわれる黄色い花が一面に咲き誇る光景は圧巻で、初夏の霧降高原を象徴する風景となっています。
ニッコウキスゲは、山地や高山の草原に群生する多年草で、濃い黄色の花を3~4輪つけ、下から順に咲いていくのが特徴です。全国の高原でも見ることができますが、日光周辺に多く自生していたことから、この名で呼ばれるようになりました。
現在のキスゲ平園地では、かつてのリフトに代わり、スロープ状の遊歩道や、レストハウスから小丸山展望台へと続く「天空回廊」と呼ばれる1,445段の階段が設けられています。これにより、訪れる人は自分の体力や目的に合わせて、ゆっくりと景色や草花を楽しみながら園内を巡ることができます。
園内の中腹までは、階段を使わずに緩やかな遊歩道のみで到達できるため、階段に不安のある方や小さなお子様連れの方でも安心して散策を楽しめます。一方、脚力に自信のある方は、天空回廊に挑戦することで、よりダイナミックな景観を体感することができます。
天空回廊を登り切った先にある小丸山展望台からは、周囲の山々を一望できる大パノラマが広がります。天候に恵まれた日には、遠く富士山や東京スカイツリーまで望むことができ、その雄大な眺めは多くの来訪者を感動させています。また、南東斜面に位置することから、初日の出の名所としても知られています。
キスゲ平園地の拠点施設である霧降高原レストハウスは、木造2階建ての建物で、訪れる人々の休憩や情報収集の場として利用されています。
1階には、自然情報などの展示コーナー、休憩スペース、案内カウンター、売店、テイクアウトコーナー、トイレ(多目的トイレ含む)が整備されています。スタッフから最新の自然情報や見どころを直接聞くことができるのも魅力です。
2階には、喫茶・軽食を提供するレストラン「日光霧降珈琲」や無料休憩所、コインロッカーがあり、大きな窓やウッドデッキからはキスゲ平の景観を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
霧降高原では、山岳エリアと渓流エリア、それぞれに魅力的なハイキングコースが整備されています。山岳エリアでは、キスゲ平から小丸山、丸山、焼石金剛へと続くルートが中心で、春から夏にかけてはビンズイ、ノビタキ、イワヒバリ、カッコウなど多くの野鳥に出会えることもあります。
渓流エリアでは、霧降ノ滝を起点に、霧降川沿いを歩きながら丁字滝、玉簾ノ滝、マックラ滝を巡る「霧降隠れ三滝」ルートがあります。清流沿いの道では、イワナやトウホクサンショウウオ、カワガラス、ミソサザイなど、多様な生き物に出会うことができます。
なお、季節によってはヒルの出没が報告されているため、長袖・長ズボンなど十分な装備での散策が推奨されています。
霧降ノ滝は、華厳滝、裏見滝と並ぶ「日光三名瀑」のひとつで、日本の滝百選にも選ばれています。上下二段からなる滝で、上滝が約25メートル、下滝が約26メートル、全体では75メートルにも及ぶ壮大な滝です。観瀑台が整備されており、駐車場から遊歩道を約5分歩くだけで迫力ある滝の姿を間近に見ることができます。
また、この滝周辺には、1915年にフランス人外交官ガロアによって発見された珍しい昆虫「ガロアムシ」が生息していることでも知られています。
霧降高原周辺には、日光霧降アイスアリーナ・日光霧降スケートセンター、大笹牧場、そして標高1,434メートルの六方沢に架かる六方沢橋など、立ち寄りたい観光スポットが点在しています。六方沢橋は全長320メートルの逆ローゼ型アーチ橋で、谷底からの高さは約134メートルにも及び、橋上からの眺めは圧巻です。
霧降高原道路沿いに位置する大笹牧場は、標高約1,300メートルの高原牧場で、広大な敷地を有しています。牧場内では乳牛の放牧が行われており、レストハウスでは搾りたての牛乳を使ったビン牛乳やバター、ソフトクリームなどのオリジナル製品を味わうことができます。
また、大型アスレチックコースやオートキャンプ場も整備され、夏は高原レジャー、冬はソリやスノーモービル体験など、家族連れにも人気のスポットです。
六方沢橋は、標高1,434メートルの六方沢に架かる全長320メートルの逆ローゼ型アーチ橋です。谷底から約134メートルの高さがあり、橋の上からは雄大な渓谷美を楽しむことができます。両側には無料の見学用駐車場が整備され、ドライブ途中の立ち寄りスポットとしても人気です。
標高1,300~1,600メートルに位置するキスゲ平周辺は、関東平野部と比べて気温が8~10度ほど低く、夏でも涼しく快適です。ニッコウキスゲが咲く初夏は肌寒く、霧が発生しやすいため、防寒対策が欠かせません。また、夏季は雷雲が発生しやすく、急な雷雨に見舞われることもあるため、天候の変化には十分注意が必要です。
霧降高原および霧降ノ滝周辺の紅葉の見頃は、例年10月下旬頃とされています。高原全体が鮮やかな色彩に包まれ、散策やドライブにも最適な季節です。春から夏は花と新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、訪れる時期によって異なる魅力を楽しめるのが霧降高原の大きな特長です。
車の場合は、日光宇都宮道路・日光ICから栃木県道169号栗山日光線を利用し、約12キロメートルで霧降高原に到着します。公共交通機関を利用する場合は、東武日光駅またはJR日光駅から東武バスを利用します。春から秋にかけては霧降ノ滝から霧降高原まで運行され、冬期は日光霧降アイスアリーナ経由で霧降ノ滝まで運行されています。
霧降高原は、豊かな自然と整備された観光施設が調和した、日光を代表する高原リゾートです。四季折々の風景を楽しみながら、ハイキングや自然観察、絶景鑑賞を通して、心身ともに癒されるひとときを過ごすことができるでしょう。
JR日光駅・東武日光駅より霧降高原行または大笹牧場行バスにて約25分、「霧降高原」バス停下車すぐ