栃木県 > 那須・塩原 > 塩原渓谷遊歩道

塩原渓谷遊歩道

(しおばら けいこく ほどう)

箒川沿いを歩く、四季彩る大自然のハイキングコース

箒川が織りなす壮大な12kmの絶景トレイル

那須塩原市塩原に広がる塩原渓谷遊歩道は、箒川(ほうきがわ)沿いに整備された全長約12kmの自然散策路です。回顧(みかえり)の吊橋から源三窟周辺まで続くこの遊歩道は、塩原温泉郷を代表する景勝地を結びながら、渓谷の四季折々の美しさを間近に体感できるコースとして、多くの観光客やハイカーに親しまれています。

深い森に包まれた渓谷、切り立つ岩肌、清流のせせらぎ、そして幾筋もの滝。塩原が「自然の宝庫」と称されるゆえんを、歩きながら実感できるのがこの遊歩道の最大の魅力です。整備された歩道とはいえ、コースによっては本格的な登山気分を味わえる区間もあり、初心者から健脚向けまで幅広い層が楽しめます。

塩原渓谷遊歩道の全体像と楽しみ方

塩原渓谷遊歩道は大きく分けて、比較的緩やかで歩きやすい「やしおコース」と、急なアップダウンが続く健脚向けの「回顧(みかえり)コース」があります。いずれのコースも、吊橋や滝、温泉、展望台など見どころが豊富で、歩くたびに新しい景色と出会えるのが特徴です。

短い区間だけを楽しむことも可能で、観光の合間に約40分ほどの散策をすることもできます。一方で、全体をじっくり歩けば半日以上かけて自然を満喫することもでき、体力や時間に応じた楽しみ方ができるのも魅力のひとつです。

やしおコース ― 家族で楽しむ穏やかな渓谷散策

やしおコースは、塩原温泉ビジターセンターのある前山国有林を起点とし、福渡地区を経て幕川沿いを笥川ダム方面へと進むコースです。比較的平坦で整備が行き届いており、小さなお子様連れやご年配の方でも安心して歩くことができます。

塩原温泉ビジターセンターから出発

スタート地点となる塩原温泉ビジターセンターは、日光国立公園の自然情報センターとして機能しており、遊歩道の状況や自然情報、見どころなどを丁寧に案内しています。散策前に立ち寄れば、その日の天候や通行状況を確認でき、より安心して歩き始めることができます。

福渡不動吊橋と岩の湯・不動の湯

福渡橋のたもとから幕川沿いへ下ると、清らかな流れに沿って遊歩道が続きます。やがて現れるのが全長34mの福渡不動吊橋です。吊橋から見下ろす渓流は透明度が高く、季節ごとに色合いを変える木々との対比が美しい景観を生み出します。

吊橋周辺には、塩原を代表する野天風呂「岩の湯」「不動の湯」があります。岩に囲まれた露天風呂は自然と一体化した趣があり、渓谷美を眺めながら湯に浸かる時間は格別です。遊歩道沿いには足湯も設けられており、歩き疲れた足を気軽に癒すことができます。

布滝と錦帯岩園地

さらに進むと、幕川の流れが一本にまとまり、岩肌を白布のように流れ落ちる布滝に出会います。その名のとおり、岩肌にさらした白布のように見える優雅な滝で、写真撮影にも人気のスポットです。

周辺の錦帯岩園地では、春にはアカヤシオの群生が咲き誇り、淡い桃色の花が渓谷を彩ります。初夏は新緑、秋は紅葉、冬は澄んだ空気の中で凛とした風景が広がり、四季を通じて異なる魅力を楽しめます。

回顧(みかえり)コース ― 絶景と達成感を味わう健脚ルート

回顧コースは、猿岩園地駐車場を起点とする本格的なハイキングコースです。急な石段や坂道が続き、標高差もあるため体力を要しますが、その分、展望台や滝からの眺めは圧巻です。

留春の吊橋と留春の滝

コース序盤に現れる留春(りゅうしゅん)の吊橋(全長20m)は、渓谷を間近に感じられる名所です。近くの留春の滝は、かつて晩春に水を得て流れ始めたことからその名が付けられたといわれています。現在は通年で水が流れ、その優美な姿は訪れる人々の心を和ませます。

展望台からの大パノラマ

急な石段を登り切ると、アカヤシオやシロヤシオが群生する尾根に出ます。ここがコースのほぼ中間地点であり、標高が最も高い展望台があります。眼下には大網地区の温泉街や箒川の流れが広がり、思わず息をのむ絶景が待っています。

回顧の滝と回顧の吊橋

コース終盤のハイライトが、落差約55mを誇る回顧の滝です。塩原十名瀑のひとつに数えられ、明治の文豪・尾崎紅葉の『金色夜叉』にも登場する名瀑です。観瀑台から眺める滝は、水晶のすだれのように繊細でありながら、力強さも兼ね備えています。

そしてその手前に架かる回顧の吊橋は、全長100m・高さ約30mを誇る迫力満点の吊橋です。橋上からは塩原ダムや遠くのもみじ谷大吊橋まで見渡せ、渓谷全体を一望できます。「振り返ってもう一度見たくなる」ことから名付けられたといわれる景観は、まさに塩原を象徴する風景です。

大網地区 ― 由緒ある温泉と歴史

回顧コース周辺に位置する大網地区は、平安時代から温泉が湧いていたと伝えられる歴史ある地域です。約300段の階段を下った笥川河畔には、岩間から湧き出る野趣豊かな露天風呂があり、泉質の良さで知られています。川を遡上する魚を大網で捕らえたことが地名の由来といわれています。

四季が織りなす塩原渓谷の表情

春はアカヤシオや新緑が山々を彩り、夏は深緑と清流の涼やかな音が心地よい空間をつくります。秋には渓谷全体が赤や黄金色に染まり、特に10月中旬から11月上旬にかけては圧巻の紅葉が楽しめます。冬は静寂に包まれ、凛とした空気の中で雪景色や氷瀑に出会えることもあります。

吊橋の上から眺める紅葉、滝と雪のコントラスト、芽吹きの季節の柔らかな緑――同じ場所でも季節が変わればまったく違う印象を受けるのが塩原渓谷遊歩道の大きな魅力です。

アクセス情報

塩原渓谷遊歩道へは、東北自動車道西那須野塩原ICから車で約20分。公共交通機関では、JR東北新幹線那須塩原駅またはJR宇都宮線西那須野駅からJRバス塩原温泉行きに乗車し、塩原温泉バスターミナルで下車します。

駐車場は、蟇石園地駐車場猿岩園地駐車場など複数ありますが、台数に限りがあるため繁忙期は早めの到着がおすすめです。

自然と向き合うひととき

塩原渓谷遊歩道は、ただ歩くだけの道ではありません。滝の音、川のせせらぎ、木々を渡る風、鳥のさえずり――五感を通して自然と向き合う時間がそこにはあります。吊橋を渡る高揚感、展望台に立ったときの達成感、足湯でほっと一息つく安らぎ。すべてが旅の思い出として心に刻まれることでしょう。

初心者はやしおコースでのんびりと、体力に自信のある方は回顧コースでダイナミックな渓谷美を堪能し、それぞれのペースで塩原の大自然を満喫してみてください。塩原渓谷遊歩道は、訪れるたびに新たな発見と感動を与えてくれる、那須塩原を代表する自然散策路です。

Information

名称
塩原渓谷遊歩道
(しおばら けいこく ほどう)

那須・塩原

栃木県