塩原元湯温泉は、栃木県那須塩原市にある塩原温泉郷の最奥部に位置し、古くから「塩原温泉発祥の地」として知られる歴史深い温泉地です。標高およそ800メートル、静寂に包まれた原生林の中に3軒の温泉宿が佇み、どこか秘境を思わせる落ち着いた雰囲気が訪れる人を包み込みます。
古町温泉からさらに車で約15分、山あいの道を進むと、ひっそりとした台地に「元泉館」「ゑびすや」「大出館」の3軒の宿が出迎えてくれます。かつては「元湯千軒」と呼ばれた時代もあり、多くの旅人や湯治客で賑わったと伝えられていますが、現在は静けさと自然の美しさを大切に守る、落ち着いた温泉地へと姿を変えています。
泉質は含硫黄–ナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型)で、源泉温度は約50℃前後。筋肉痛や神経痛、皮膚病、切り傷、胃腸病、婦人病などに良いとされ、古くから湯治場として親しまれてきました。※効能は万人に効果を保証するものではありません。
特に旅館大出館には、湯の花が豊富に含まれることで黒く見える「黒湯」があり、全国的にも珍しい泉質として人気です。入浴するたびに湯のまろやかさと独特の色合いが楽しめ、訪れるたびに違った表情を見せる魅力があります。
「元湯」という名前の通り、塩原温泉郷の始まりの地とされる温泉で、その歴史は非常に古く、大同元年(806年)に如葛仙という人物が源泉を発見したという説が伝えられています。一方で、発見者は猟師であったという説もあり、いまだに謎多き歴史を秘めています。
かつては「元湯千軒」と称されるほど賑わいましたが、1659年(万治2年)の大地震で山津波が発生し、多くの宿が埋没する大災害に見舞われました。その後、一時は源泉も止まってしまいましたが、元湯温泉神社を再建した後に再び湯が湧き、現在の3軒の宿が温泉を守り続けています。
創業約350年の老舗宿で、江戸時代から湧く黄褐色の源泉を守り続けています。名物は、渓谷の深部にひっそりと佇む川岸露天風呂。88段の階段を下りた先に現れる湯船は、目の前に川が流れる圧巻のロケーションで、まさに自然と一体になるような湯浴みを体験できます。
3本の自家源泉を持つ元泉館では、湯の色が季節や天候により変化する硫黄泉が楽しめます。乳白色・緑白色・墨色など、訪れるたびに違った表情を見せる温泉はまさに自然の神秘。飲泉可能な「邯鄲の湯」も人気で、体の内側から温泉の恵みを感じることができます。
・JR宇都宮線「西那須野駅」からバスで約40分「塩原温泉バスターミナル」下車。そこからタクシーまたは宿の送迎車(要予約)で約15分。・東北自動車道「西那須野塩原IC」から国道400号経由で約40分。