岩石が広がり、荒涼とした風景が広がるこの地は、九尾の狐にまつわる伝説が残る史跡としても知られています。
那須湯本温泉付近に存在する溶岩の地で、周囲には硫黄の匂いが立ち込め、独特の雰囲気を醸し出しています。
この地は九尾の狐が絶世の美女「玉藻の前」として化けて鳥羽天皇に近づきましたが、正体を知られて逃げてきた場所として知られています。
退治された妖狐は石になり、その怨念が毒気となって近づく人や家畜・鳥獣を殺し続けたと伝えられ、「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」として古くから知られています。
周辺からは硫化水素や亜硫酸ガス、砒素などの有毒ガスが噴出し、今でも硫黄臭が漂っています。
この地は松尾芭蕉も訪れた史跡であり、遊歩道も整備されているため散策が可能です。
整備された遊歩道は那須高原展望台まで続いており、那須湯本温泉からも近いため、温泉街を訪れる際には立ち寄るスポットとして人気があります。
ただし、特に小さな子供はこの臭気にあてられないように注意してください。
また、すぐ近くには那須湯本温泉の源泉となっている日帰り温泉もありますので、訪れる際にはぜひ立ち寄ってみてください。
また、5月には御神火祭(ごじんかさい)という火祭りが開催されます。那須温泉神社から練り歩く松明行列や、実際のカップルによる神前婚「狐の嫁入り」、九尾太鼓の奉納などが見どころとなっています。
那須高原の紅葉の見頃(目安)
茶臼岳: 9月下旬〜10月上旬
姥ヶ平: 9月下旬〜10月上旬
朝日岳: 9月下旬〜10月上旬
那須ロープウェイ付近: 10月上旬〜中旬
駒止の滝: 10月中旬
那須甲子道路: 10月中旬
つつじ吊橋: 10月中旬
殺生石: 10月中旬〜下旬
湯本温泉周辺(那須温泉郷): 10月中旬〜下旬
以上が、殺生石の施設紹介となります。
殺生石(せっしょうせき)は、栃木県那須郡那須町に位置する溶岩の地です。この地域では火山性ガスが噴出し、鳥獣がそのガスによって命を落とすという事例が古くから知られています。仏教において「殺生」とは五戒の一つで、「生命を奪うこと」を意味します。
松尾芭蕉が『おくのほそ道』でこの地を訪れたことはよく知られており、国の指定名勝にもなっています。ただし、伝承によれば、この石に起源を持つとされる石は全国にいくつか存在し、「殺生石」と呼ばれているものもあります。
また、那須の殺生石と同様に火山性ガスが噴出する場所でも「殺生石」と呼ばれる石があるとする文献もあります。しかし、一般的に「殺生石」と言えば、那須の殺生石を指すことが一般的です。
この地域では硫化水素や亜硫酸ガスなどの有毒な火山ガスが絶えず噴出しており、古くから「鳥獣が近づけば命を奪う、殺生の石」として知られていました。松尾芭蕉もこの地を訪れ、「石の香や 夏草赤く 露暑し」と詠んでいます。
現在、この地域は「殺生石園地」として知られ、多くの観光客が訪れる名所となっています。ただし、ガスの噴出量が多い時は立ち入りが制限されています。
荒涼とした地に、不思議な伝説が残る石
2022年3月5日には、殺生石が二つに割れたことが確認されました。数年前からひびが見つかっていたため、那須町では「自然に割れた可能性が高い」と述べています。
また、2022年12月7日には、殺生石の近くでイノシシ8頭(成獣3頭、幼獣5頭)の死骸が発見されました。これまでにはタヌキやキツネの死骸が見つかっていましたが、イノシシは初めてのことでした。ガスの有毒性については、一般的には人間が近づかなければ問題ありませんが、幼児やペット連れの場合は注意が必要です。地域では以前から看板を設置して注意喚起を行っています。
御神火祭
茶臼岳(那須岳)の活火山を鎮める祈りのため、毎年5月に一般社団法人那須町観光協会主催の御神火祭(ごじんかさい)が行われます。この祭りでは、白装束に狐の面やフェイスペイントをした100人の松明行列が那須温泉神社で「無間地獄の火」と呼ばれる火を採火し、殺生石へと降りて行きます。神事の後、殺生石の近くに設けられた高さ約5メートルの大松明「御神火」に点火します。また、殺生石前では白面金毛九尾狐太鼓の披露も行われます。
九尾の狐伝説
鳥羽上皇に寵愛された美しい女性・玉藻前が九尾の狐の化身(妖狐)であったという伝説があります。彼女は陰陽師の安倍泰成に見破られ、東国に逃れました。そして上総介広常と三浦介義純によって狐は追い詰められ、退治された後、狐は石に姿を変えたと伝えられています。しかし、この石は毒を発し、人々や生き物の命を奪い続けたため、「殺生石」と呼ばれるようになりました。至徳2年(1385年)には玄翁和尚によって破壊され、その破片が全国に飛散したと言われています。
殺生石の破片は日本各地の「高田」という地名の3か所に飛散したとされています(諸説あり)。一般的には美作国高田(現在の岡山県真庭市勝山)、越後国高田(現在の新潟県上越市)、安芸国高田(現在の広島県安芸高田市)、豊後国高田(現在の大分県豊後高田市)、会津高田(現在の福島県会津美里町)のいずれかに飛散したとされています。
また、「高田」以外の地に破片が散ったという伝承も存在し、飛騨では牛蒡種に、四国では犬神に、上野国ではオサキになったと言われています。
無料
電車・バス:JR那須塩原駅から関東バスで約50分
車:東北自動車道 那須ICから約30分