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栃木市

(とちぎし)

栃木市は、栃木県南部に位置する都市です。市街地には江戸時代の蔵造りの家屋が並ぶ「蔵の街」が保存されており、小江戸・小京都・関東の倉敷などと称される観光地として人気があります。

人口約15万人の都市で、県内では宇都宮市、小山市に次ぐ第3位の人口を誇ります。市南部にはラムサール条約登録湿地の渡良瀬遊水地が所在し、自然と歴史の両面で魅力を持つ街です。

歴史と文化

前近代の栃木市

江戸時代、栃木市は巴波川を利用した舟運と、日光東照宮に派遣される例幣使が通行する例幣使街道の宿場町として栄えました。戦災を免れたため、江戸時代から明治時代にかけての蔵や商家、寺院など歴史的建造物が多く残り、「美しいまちなみ大賞」を受賞しています。こうした歴史資産を観光資源化し、関東地方では川越市や佐原市とともに小江戸サミットを開催するなど、「小江戸」としての知名度も高い街です。

城下町と宿場町

天正19年(1591年)、皆川広照によって栃木城が築かれ、城下町として発展しました。しかし、慶長14年(1609年)に広照が改易されると城は廃城となり、城下町としての機能は消失しました。その後、正保4年(1647年)に日光例幣使の派遣が始まると、栃木町は栃木宿として宿場町に定められ、交通と物資の要所として再び栄えることになりました。

近現代の栃木市

明治4年(1871年)の廃藩置県により、栃木市は旧栃木県の県庁所在地となりました。その後、宇都宮県との合併や群馬県への移管を経て、最終的には宇都宮に県庁が移転しました。しかし、行政都市としての性格は維持され、現在も国や県の出先機関、裁判所などが集まる栃木県南部の行政中心地となっています。

地理と自然

地形と河川

栃木市は関東平野北部に位置し、北部には山並みが広がります。市中心部を巴波川が流れ、東部を思川、南部を渡良瀬川が流れることで知られ、これらの河川の合流部には渡良瀬遊水地があります。鉄道はJR両毛線、東武日光線、宇都宮線が通り、道路は国道50号や293号、栃木バイパスなど主要幹線が市内を縦横に結んでいます。

気候

栃木市は太平洋岸気候に属しますが、内陸部に位置するため、夏は暑く、冬は寒いのが特徴です。夏季には30℃を超える日が多く、35℃以上の猛暑日もあります。冬季は最低気温が-5℃以下に下がる日もあり、降雪日数は年に数日ですが、夏は夕立や雷雨が頻繁に発生することでも知られています。

観光名所

栃木市歴史的町並み「蔵の街」

旧日光例幣使街道沿いと巴波川周辺に広がる「蔵の街」は、江戸時代から明治時代の土蔵や商家が残る地区です。巴波川沿いでは遊覧船も運行され、幸来橋や塚田歴史伝説館、横山郷土館などの観光スポットも楽しめます。

蔵の街大通り

蔵の街大通りには、毛塚紙店MORO craft(丸三家具店)五十畑荒物店など、伝統と現代が融合した店舗が軒を連ねています。パーラートチギ北蔵カフェひがの日光珈琲 蔵の街といった趣あるカフェでは、建物そのものを楽しみながらひと休みすることができます。

栃木地域 ― 蔵の街を中心とした歴史散策

栃木市観光の象徴ともいえるのが、栃木市歴史的町並み景観形成地区(蔵の街)です。旧日光例幣使街道と巴波川周辺には、江戸時代から明治時代にかけて建てられた蔵造りの建物や商家が数多く残り、情緒ある街並みを形成しています。

文化施設と記念館

山本有三ふるさと記念館とちぎ歌麿館では、栃木市ゆかりの文化人や芸術に触れることができ、街の文化的背景を深く知ることができます。蔵の街市民ギャラリー好古壱番館では、企画展示や地域文化の発信も行われています。

巴波川綱手道と遊覧船

巴波川沿いに整備された綱手道は、散策に最適なエリアです。蔵の街遊覧船に乗れば、水面から蔵の街を眺めることができ、陸上とは異なる視点で街の魅力を堪能できます。幸来橋横山郷土館塚田歴史伝説館なども見どころです。

嘉右衛門町 ― 重要伝統的建造物群保存地区

嘉右衛門町は、江戸から昭和初期にかけての建造物が良好に保存された地区で、落ち着いた雰囲気が魅力です。岡田記念館畠山陣屋跡岡田家翁島別邸などが点在し、油伝味噌嘉右衛門橋とともに、歴史の重みを感じる散策が楽しめます。

市街の社寺と洋館

市街地には、順礼山定願寺教王山満福寺神明宮など由緒ある社寺が点在しています。また、栃木市役所別館(旧栃木町役場庁舎)栃木病院といった洋館建築も見どころで、近代化の歴史を感じさせます。

太平山周辺 ― 自然と信仰の地

太平山は栃木市を代表する自然景勝地で、太平山神社随神門謙信平あじさい坂など、四季折々の美しさが楽しめます。春の桜、初夏の紫陽花、秋の紅葉と、訪れる季節ごとに異なる表情を見せてくれます。

藤岡地域 ― 渡良瀬遊水地と自然

渡良瀬遊水地は、ラムサール条約登録湿地として知られ、広大な自然と貴重な生態系を有しています。谷中村跡栃木・群馬・埼玉の三県境は全国的にも珍しいスポットで、自然と歴史を同時に体感できます。

都賀・西方・岩舟地域

都賀地域ではつがの里花之江の郷、西方地域では金崎の桜西方城址、岩舟地域では岩船山とちぎ花センターなど、自然・史跡・花の名所が点在し、ドライブ観光にも最適です。

主な施設

大通りと蔵の街の中心エリア

蔵の街の中心となる大通り沿いには、江戸後期から明治期にかけて建てられた蔵や商家が点在し、栃木市を代表する観光スポットが集まっています。ここでは、美術館や資料館、飲食店などが歴史的建築物を活用して営業しており、文化と観光が自然に融合した街並みを楽しむことができます。

あだち好古館

あだち好古館は、1980年4月に開館した美術館で、呉服問屋として栄えた安達家の土蔵を利用しています。建物は文久3年(1863年)から明治29年(1896年)までの間に建てられたもので、重厚な土蔵建築が特徴です。館内では、初代安達幸七が蒐集した骨董品や美術品が7室に分けて展示されており、商人文化の豊かさと美意識を間近に感じることができます。

蔵の街市民ギャラリー

江戸時代後期に建てられた善野家の土蔵を活用した蔵の街市民ギャラリーは、「おたすけ蔵」の愛称で親しまれています。安政の飢饉の際に蔵を開放し、民衆救済に役立てたという逸話が残る建物で、2000年には市指定文化財となりました。かつては「とちぎ蔵の街美術館」として親しまれ、現在は市民の創作活動を支える展示空間として活用されています。

好古壱番館

好古壱番館は、大正期に建てられた洋風建築で、旧安達呉服店店舗として国の登録有形文化財に指定されています。現在は蕎麦屋として営業しており、歴史的建築の中で食事を楽しめる点が大きな魅力です。西洋建築の優雅な外観と、和の食文化が調和した独特の雰囲気は、蔵の街観光の途中に立ち寄るのに最適です。

古久磯提灯店見世蔵

県指定文化財である古久磯提灯店見世蔵は、かつて「とちぎ歌麿館」として営業していました。江戸時代の浮世絵師・喜多川歌麿と栃木町の商人たちとの交流に焦点を当てた展示が行われ、文化的価値の高い施設として注目されました。現在も建物自体が蔵の街の歴史を物語る貴重な存在です。

とちぎ蔵の街観光館

とちぎ蔵の街観光館は、明治37年(1904年)に上棟された田村家の見世蔵を中心に整備された観光拠点です。休憩所や食事処、土産物店が集まり、観光客にとって便利な施設となっています。母屋や土蔵群も含めて改修され、歴史的景観を保ちながら現代的な観光機能を備えています。

栃木市郷土参考館

栃木市郷土参考館は、回漕問屋坂倉家の蔵屋敷を活用した資料館です。建築年代は江戸後期とされ、市民の保存活動により貴重な文化財が守られてきました。館内では、市内で出土した石器や生活道具、民俗資料が展示され、栃木市の暮らしの歴史を学ぶことができます。

山本有三ふるさと記念館

作家・山本有三の生家近くに建つ山本有三ふるさと記念館は、1997年に開館しました。明治初期に建てられた見世蔵を活用した建物は国登録有形文化財であり、館内では山本有三の遺品や資料を通して、その文学世界と人となりに触れることができます。

巴波川と水運の歴史

蔵の街の発展を支えた巴波川は、かつて舟運の要として重要な役割を果たしました。川沿いには回漕問屋や商家が立ち並び、現在も当時の景観を感じさせる黒塀や蔵が残っています。遊歩道として整備された川沿いは、散策や写真撮影にも人気のスポットです。

塚田歴史伝説館

塚田歴史伝説館は、木材回漕問屋として栄えた塚田家の屋敷を活用した資料館です。国登録有形文化財となっている建物群と黒塀は、栃木市を代表する景観の一つです。館内では、明治期の生活用品やからくり人形、語り部ロボットなどを通じて、楽しく歴史を学ぶことができます。

横山郷土館

横山郷土館は、麻問屋と銀行を営んだ横山家の建物を公開した資料館です。明治から大正期にかけて建てられた複数の蔵や洋風建築が残り、商業と金融の歴史を伝えています。帳場やカウンターが当時のまま保存され、往時の商いの様子を具体的に感じ取ることができます。

嘉右衛門町地区の歴史と文化

嘉右衛門町地区は、江戸末期から昭和初期にかけての建物が集積する歴史的地区です。味噌醸造や代官屋敷など、多彩な文化資源が点在し、蔵の街の中でも特に落ち着いた雰囲気を楽しめます。

油伝味噌

天明元年(1781年)創業の油伝味噌は、味噌醸造業として長い歴史を誇ります。敷地内には国登録有形文化財の土蔵が並び、茶屋「田楽あぶでん」では名物の味噌田楽を味わうことができます。

岡田記念館

岡田記念館は、代官・岡田嘉右衛門の屋敷を公開した施設で、岡田家に伝わる宝物や歴史資料が展示されています。近隣には別邸「翁島」もあり、地区全体で歴史散策を楽しめます。

嘉右衛門町ガイダンスセンター

地区の拠点施設である嘉右衛門町ガイダンスセンターは、2021年に開館しました。歴史的建物を活用し、観光案内や交流の場として機能しています。隣接するシェアスペース「KAEMON BASE」も、新たな賑わいを生み出しています。

入舟町と近代の足跡

県庁堀

明治初頭に栃木県庁が置かれた際に整備された県庁堀は、巴波川と舟で行き来できる水路として重要な役割を果たしました。現在も鯉や白鳥が泳ぐ穏やかな水辺として、市民や観光客に親しまれています。

栃木市立文学館

栃木市立文学館は、1921年に建てられた旧市役所庁舎を活用し、2022年に開館しました。山本有三、吉屋信子、柴田トヨなど、市にゆかりのある文学者の資料を展示し、近代文学と地域文化を結ぶ拠点となっています。

自然とレジャー

太平山や錦着山、晃石山、三毳山などの山々はハイキングや自然散策に最適です。渡良瀬遊水地や谷中湖は小型ヨットやウィンドサーフィンに適しており、希少な植物や野鳥の観察も可能です。また、みかも山公園や大平地域のフォレストアドベンチャーおおひら、太平山遊覧道路など、家族連れでも楽しめるレジャースポットが揃っています。

温泉

栃木市周辺には温泉も点在しています。柏倉温泉や栃木温泉・湯楽の里では、観光の疲れを癒しながら地域の自然や文化を満喫できます。

祭事・イベント

栃木市では年間を通して多彩なイベントが開催されています。1月の元旦マラソン太平山桜まつりあじさい祭り、夏の蔵の街サマーフェスタ、秋のとちぎ秋まつり太平山もみじ祭り、冬の光と音のページェントなど、季節ごとの魅力が満載です。

選定・受賞歴

栃木市は観光都市としても高く評価されています。日本さくら名所100選(太平山県営自然公園)、都市景観100選(栃木市歴史的町並み景観形成地区)、美しい日本の歩きたくなるみち500選(蔵の街と太平山へのみち)など、数々の受賞歴があります。また、夜景や自然景観に関する選定も多く、四季折々の魅力を感じられる街です。

栃木市観光モデルコース

1日観光モデルコース

栃木市を初めて訪れる方や、短時間で主要スポットを楽しみたい方におすすめの1日コースです。

午前

昼食

蔵の街内のカフェやレストランで、地元食材を使ったランチを楽しむことができます。おすすめは日光珈琲 蔵の街や北蔵カフェひがのです。

午後

夕方

夕暮れ時には太平山から市街地の夜景を眺めるのがおすすめです。日本夜景遺産にも選ばれており、幻想的な景観を堪能できます。

2日観光モデルコース

栃木市の歴史と自然をゆっくり楽しみたい方におすすめの2日コースです。

1日目:歴史と文化の散策

2日目:自然とアウトドア体験

おすすめランチ・休憩

1日目・2日目ともに蔵の街や太平山周辺のカフェで休憩可能。地元の蕎麦や和菓子、農産物を使ったスイーツも楽しめます。

宿泊

栃木市内にはビジネスホテルや温泉施設があり、観光後は柏倉温泉や栃木温泉・湯楽の里でゆったりと宿泊できます。

まとめ

栃木市は、歴史・文化・自然が調和した観光都市です。江戸時代の宿場町や城下町の面影を残す「蔵の街」、太平山や渡良瀬遊水地などの自然、年間を通じて楽しめる祭事・イベント、温泉や美しい景観など、訪れる人々に多彩な魅力を提供します。歴史的建造物と現代の文化が共存する栃木市は、観光と学びを同時に体験できる街として、国内外の観光客に親しまれています。

Information

名称
栃木市
(とちぎし)

小山・栃木市

栃木県