栃木県 > 小山・栃木市 > しもつけ風土記の丘資料館
下野市立しもつけ風土記の丘資料館は、栃木県下野市国分寺地区に位置し、国指定史跡である下野国分寺跡および下野国分尼寺跡に隣接して建つ歴史資料館です。周辺一帯には、古墳や寺院跡、国府跡など、栃木県の古代文化の成り立ちを物語る数多くの史跡が点在しており、当館はそれらを理解するための中心的な施設として親しまれています。
しもつけ風土記の丘資料館は、平成27年(2015年)4月1日に栃木県から下野市へ移管され、下野市立しもつけ風土記の丘資料館として新たに開館しました。単に出土品を展示するだけでなく、実際に史跡を「訪ね」、そこから出土した資料を「見て・学ぶ」ことを重視した施設として整備され、地域の歴史学習や観光の拠点として重要な役割を担っています。
館内では、下野市内を中心に行われた発掘調査によって出土した資料を通じて、古墳時代から奈良・平安時代にかけての歴史を、政治・社会・民衆の暮らし、さらには中央政権と地方との関係といった多角的な視点から紹介しています。
資料館最大の見どころの一つが、平成29年(2017年)に国の重要文化財に指定された甲塚古墳出土遺物の展示です。甲塚古墳は、下野市国分寺にある帆立貝形前方後円墳で、しもつけ古墳群(飯塚・国分寺地域)を構成する代表的な古墳の一つです。
発掘調査では、人物埴輪20体以上、馬形埴輪4体に加え、全国的にも非常に珍しい機織形埴輪が出土しました。これらの埴輪は、当時の人々の生活や信仰、社会構造を具体的に伝える貴重な資料であり、資料館ではその価値や背景を分かりやすく解説しています。
重要文化財エリアでは、甲塚古墳から出土した機織形埴輪をはじめ、人物埴輪や馬形埴輪を間近で見ることができます。特に機織形埴輪は全国でも類例が少なく、古墳時代の生産活動や女性の役割を考える上で、極めて重要な資料として注目されています。
古墳時代エリアでは、「古墳はどのようにして造られたのか」「なぜ前方後円墳は巨大化したのか」「なぜ古墳は造られなくなったのか」といった疑問に答えながら、前方後円墳や埴輪の役割について解説しています。あわせて、下野市周辺に分布する数多くの古墳も紹介され、地域の特色を理解することができます。
飛鳥時代エリアでは、下毛野氏一族出身で大宝律令の編さんに関わった下毛野朝臣古麻呂を中心に、藤原京と下野地域との関わりを紹介しています。中央政治と地方豪族の結びつきが分かりやすく解説されており、日本の国家形成期を学ぶ上で非常に興味深い内容となっています。
奈良時代エリアでは、下野国分寺を200分の1の模型で再現し、当時の壮大な伽藍配置を視覚的に理解できるよう工夫されています。また、古代木造建築の特徴である木組みの技術や瓦製作の工程、さらには庶民の暮らしについても丁寧に解説されています。
加えて、平城京資料館の資料を参考に、庶民・役人・貴族それぞれの食事内容を再現展示しており、教科書だけでは分かりにくい古代の生活を身近に感じることができます。
しもつけ風土記の丘資料館では、展示を見るだけでなく、勾玉づくりや円筒埴輪づくりといった体験学習や、定期的な歴史講座も開催されています。子どもから大人まで楽しみながら学べるプログラムが充実しており、観光と学習を両立できる点も大きな魅力です。
資料館の周辺には、下野国分寺跡・国分尼寺跡をはじめ、丸塚古墳や愛宕塚古墳など多くの史跡が集まっています。資料館で基礎知識を得たうえで史跡を巡ることで、古代下野の歴史をより深く体感することができます。
下野市立しもつけ風土記の丘資料館は、歴史ファンはもちろん、家族連れや観光で訪れる方にもおすすめの、学びと発見に満ちた文化施設です。