好古壱番館は、栃木県栃木市万町に位置する大正時代の西洋建築であり、現在は蕎麦屋「小江戸そば 好古壱番館」として親しまれている観光スポットです。歴史的町並みが残る蔵の街・栃木の中でも、和の建築が並ぶ通りにひときわ目を引く洋風建築として、多くの来訪者を魅了しています。
好古壱番館は、1923年(大正12年)に建築された初期の本格的な西洋建築の一つです。蔵の街大通り(旧・日光例幣使街道)沿いに建ち、JR・東武栃木駅北口から徒歩約15分という、観光散策にも便利な場所にあります。
この通りには江戸から明治期にかけての見世蔵が多く残っていますが、大正時代になると時代の流れとともに洋風建築が増えていきました。好古壱番館は、そうした時代の変化を象徴する建物であり、和と洋が交差する栃木市の歴史を今に伝えています。
文化財としての正式名称は「好古壱番館(旧安達呉服店店舗)」で、かつては呉服店として利用されていました。木造2階建てで屋根裏部屋を備え、屋根にはマンサード屋根が採用されています。ペディメント付きのドーマー窓や、外壁のセメント洗い出し仕上げ、石張りのアーチなど、当時の洋風建築の特徴が随所に見られます。
また、建物の奥には幕末から明治期にかけて使用されていたと考えられる4連の土蔵が連なっており、商都・栃木の繁栄を物語る貴重な遺構となっています。こうした歴史的価値が評価され、日本国の登録有形文化財に指定されています。
現在、建物の1階では「小江戸そば 好古壱番館」が営業しています。1997年(平成9年)に開店し、当初は洋食を中心とした飲食店でしたが、現在は手打ち蕎麦を主とする蕎麦屋として多くの人に親しまれています。
店内は大正ロマンを感じさせる落ち着いた雰囲気で、観光の合間にゆったりと食事を楽しめる空間です。通常は昼営業が中心ですが、予約により夜の営業にも対応しています。
好古壱番館は「とちぎ江戸料理」の参加店でもあり、地元の食文化を大切にした料理が提供されています。蕎麦は独自にブレンドした蕎麦粉を用いた手打ちで、香り豊かな特製だしとともに味わえます。
看板メニューの「四季の旬菜手打ちそば」は、春は山菜、夏は夏野菜、秋はきのこなど、季節ごとの旬の素材を生かした一品で、訪れるたびに異なる味わいを楽しめるのが魅力です。
もう一つの名物が、栃木市のご当地グルメとして知られる「じゃがいも入り焼きそば」です。北海道産男爵いもとキャベツ、豚挽肉を使い、香ばしく仕上げた素朴な味わいが特徴で、テレビ番組やドラマでもたびたび紹介されています。
このじゃがいも入り焼きそばを町おこしに活用する提案を行ったのも、好古壱番館の店主であり、「路地裏グルメ」として地域に根付かせる活動を続けています。
好古壱番館は、建築・歴史・食を一度に楽しめる貴重な存在です。蔵の街散策の途中で立ち寄れば、大正時代の洋館建築を眺めながら、栃木ならではの味覚に触れることができます。栃木市を訪れた際には、ぜひ足を運びたい観光スポットの一つです。