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久保記念 観光文化交流館

(くぼ きねん かんこうぶんか こうりゅうかん)

真岡の歴史と芸術、暮らしの文化に触れる観光拠点

久保記念観光文化交流館は、栃木県真岡市荒町に位置する観光文化施設で、美術評論家として全国的に知られた久保貞次郎氏ゆかりの邸宅跡を活用して整備されました。親しみを込めて「さだじろう記念館」の愛称でも呼ばれ、真岡の歴史・芸術・観光を一体的に楽しめる場所として、多くの来館者を迎えています。

この施設は、明治から大正期に建てられた蔵や洋館など、歴史的価値の高い建物をリノベーションし、美術・観光・食・交流をテーマに再生された点が大きな魅力です。2014年(平成26年)10月23日に開館して以来、真岡市の新たな観光文化拠点として親しまれています。

門前町の記憶を受け継ぐ開館の背景

久保記念観光文化交流館が立地する一帯は、1347年の真岡城築城に伴い建立された三つの寺院に囲まれた門前町として発展してきました。大正から昭和初期にかけては、料亭や芸者置屋が立ち並び、真岡でも有数の華やかな賑わいを見せていた地域です。

しかし時代の移り変わりとともに、多くの建造物が失われ、明治・大正・昭和の面影を伝える建物は、市所有の岡部記念館「金鈴荘」と、かつて「久保邸」と呼ばれていたこの建物群のみとなりました。

そのような中、久保家および関係者から「建物を保存し、次世代に継承してほしい」という思いとともに、真岡市へ譲渡の申し出がありました。市はこれを受け、歴史的建築物としての価値を守りながら、観光と文化交流の拠点として再生することを決定し、現在の久保記念観光文化交流館として整備・公開しました。

久保貞次郎氏と文化の香り

久保貞次郎氏(1909〜1996)は、美術評論家として活動する一方、数多くの芸術家と交流し、作品の蒐集や紹介に尽力した人物です。真岡を拠点としながらも、その活動は全国に及び、地域文化と近代美術を結びつけた存在として高く評価されています。

館内では、久保氏が遺した書簡や原稿、写真、愛用品などを通じて、その人柄や思想、芸術への情熱に触れることができ、単なる展示施設にとどまらない、「人を知る文化施設」としての魅力を感じられます。

5つの建物で構成される多彩な施設群

久保記念観光文化交流館は、明治・大正期に建てられた蔵や洋館など、5つの建物から構成されています。それぞれが異なる役割を担い、訪れる人に多角的な体験を提供しています。

久保記念館(旧日本銀行真岡支金庫)

1907年(明治40年)に建築されたこの建物は、かつて日本銀行宇都宮代理店真岡出張所真岡支金庫として使用されていました。館内に一歩足を踏み入れると、一枚板の重厚なカウンターや箪笥階段など、当時の造作が今も大切に残され、明治期の空気を色濃く伝えています。

1階には観光案内所、観光サロン、そして真岡木綿展示室が設けられ、真岡観光の拠点としても利用されています。2階には久保資料室があり、久保貞次郎氏の生涯や活動を、貴重な資料とともに紹介しています。

真岡木綿展示室

栃木県の伝統工芸品である真岡木綿は、綿の栽培から糸づくり、織りまでをすべて手作業で行う、素朴で温かみのある織物です。展示室では、その工程や製品が紹介され、定期的な展示替えにより、多彩な真岡木綿の魅力を楽しむことができます。

久保資料室(2階・入館無料)

久保資料室では、久保氏の残した書簡や写真、原稿、著作本などを展示し、芸術家や評論家としての側面だけでなく、人としての魅力にも迫ります。久保家で実際に使用されていた机を展示ケースとして活用するなど、建物の造作を生かした空間演出も見どころです。

美術品展示館(旧久保アトリエ)

1923年(大正12年)に久保家の米蔵として建てられた大谷石造りの蔵は、1957年(昭和32年)に久保貞次郎氏のアトリエとして改修され、「久保アトリエ」と呼ばれていました。ここには瑛九、池田満寿夫、靉謳、オノサト・トシノブなど、多くの芸術家が集い、真岡近代美術の交流拠点となっていました。

現在は美術品展示館として活用され、真岡市に寄贈された久保コレクション宇佐美コレクションを中心に、年に数回の企画展が開催されています。展示内容は2〜3か月ごとに入れ替わるため、何度訪れても新たな発見があります。

観光まちづくりセンター・観光物産館

1879年(明治12年)築のなまこ壁の土蔵を改修した観光まちづくりセンターでは、観光コンシェルジュの活動拠点として利用されるほか、切り絵や竹貼画、民話語り、ヨガなどのワークショップも開催され、地域交流の場となっています。

併設の観光物産館では、真岡木綿製品やイチゴ加工品、真岡鐵道のSLグッズなど、真岡ならではの土産品が豊富に揃い、旅の思い出づくりに最適です。

Trattoria COCORO

敷地内には、大正期の洋館を活用したレストランTrattoria COCOROがあり、フレンチをベースにした創作イタリアンを楽しむことができます。歴史ある建物で味わう食事は、特別なひとときを演出してくれます。

モニュメント「暖炉」

1943年(昭和18年)に建築家・遠藤新が設計した作品で、かつて久保ギャラリーがあった場所に立つ記念碑的構造物です。芸術を愛した久保の世界観に触れられる貴重なスポットとして知られています。

利用案内とアクセス

入館料は無料で、気軽に立ち寄れる点も大きな魅力です。真岡鐵道真岡線・真岡駅から徒歩約15分、北関東自動車道・真岡ICからは車で約12分と、観光の途中にも訪れやすい立地にあります。

歴史と文化を感じる真岡市の新たな観光拠点

久保記念観光文化交流館は、歴史的価値の高い建築物を保存しながら、地域文化や芸術の魅力を発信する拠点として多彩な役割を果たしています。訪れる人々は、明治・大正・昭和の建築美を味わいながら、現代の真岡市が持つ文化の豊かさを感じることができるでしょう。この歴史ある空間で、ぜひ真岡市ならではの魅力を心ゆくまでお楽しみください。

Information

名称
久保記念 観光文化交流館
(くぼ きねん かんこうぶんか こうりゅうかん)

益子・真岡

栃木県