那珂川町は、栃木県北東部に位置し、那須郡に属する人口約1万8千人の町です。2005年に旧馬頭町と旧小川町が合併して誕生しました。町名の由来となっているのは、町の中央を悠々と流れる那珂川であり、この川は関東地方でも有数の清流として広く知られています。
那珂川町は、清流とそれを取り囲む里山の自然、古代から続く歴史文化、温泉や美術館などの観光資源が調和した町です。訪れる人に安らぎと発見をもたらす風景が広がり、暮らす人々の想いや受け継がれてきた文化が、町の大きな魅力となっています。
那須岳山麓を水源とする那珂川は、町の自然を象徴する存在です。澄み切った水と豊かな流れは、鮎をはじめとする多様な生き物を育み、夏には鮎釣りの名所として全国から多くの釣り人が訪れます。川沿いに広がる里山の風景は、四季折々に異なる表情を見せ、春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の静寂と、自然の移ろいを五感で感じることができます。
気候は典型的な内陸型で、寒暖差はあるものの年間を通じて比較的温暖です。降雪量も少なく、生活しやすい環境であることから、観光はもちろん、滞在型の旅行や移住先としても注目されています。
那珂川町の中でも特に注目されるのが小砂(こいさご)地区です。平成25年(2013年)10月、小砂地区は「里山に伝わる伝統の技 小砂焼と菊炭」、そして「小砂里山の芸術の森」という二つの地域資源が高く評価され、「日本で最も美しい村」連合への加盟が認められました。
これは栃木県内で初、関東地方でも4番目という快挙であり、自然と人の営みが調和した景観と文化が、全国的に認められた証といえます。静かな里山の中で育まれてきた伝統工芸や暮らしの知恵は、今も大切に守られています。
那珂川町は馬頭温泉郷を中心に、町内各地に温泉施設が点在しています。ゆりがねの湯、まほろばの湯、南平台温泉ホテル、いさみ館など、それぞれに趣の異なる温泉が楽しめます。
特に馬頭温泉は、肌が滑らかになることから「美人の湯」として親しまれています。那須岳や周囲の山々を望む開放的な景観の中で湯に浸かるひとときは、日常の疲れを忘れさせてくれるでしょう。
那珂川町は文化施設も充実しています。馬頭広重美術館は、歌川広重の「東海道五十三次・庄野(白雨)」をモチーフに、建築家・隈研吾氏が設計した美術館で、自然と調和した建築美も見どころです。
また、「14ひきのシリーズ」で世界的に知られる絵本作家・いわむらかずお氏の作品を紹介するいわむらかずお絵本の丘美術館、障がいのある人々の作品を紹介するもうひとつの美術館など、心に寄り添う文化施設が点在しています。
さらに、那珂川町馬頭郷土資料館や栃木県立なす風土記の丘資料館では、縄文時代から近代に至るまでの地域の歴史や文化を学ぶことができます。
町内には、駒形大塚古墳や那須官衙遺跡、神田城跡など、古代から中世にかけての史跡が数多く残されています。これらは、那珂川流域が古くから人々の生活と政治の拠点であったことを物語っています。
また、鷲子山上神社や健武山神社、慈願寺、馬頭院などの神社仏閣は、信仰と歴史が息づく場所であり、参拝とともに地域の文化を感じることができます。
那珂川町では、ゴルフやキャンプといったアウトドアも盛んです。馬頭ゴルフ倶楽部、那須小川ゴルフクラブ、ジュンクラシックカントリークラブなど、自然を生かしたコースが揃っています。
キャンプ場では、那珂川グリーンヒルやまほろばキャンプ場、サンタヒルズなどがあり、家族連れやアウトドア愛好者に人気です。清流と森に囲まれた環境で過ごす時間は、心身をリフレッシュさせてくれます。
春には花の風まつり、小砂焼春の陶器市、夏には鮎釣り解禁や天王祭、秋には諏訪神社例大祭やなかがわ清流マラソン大会など、四季を通じて多彩な行事が行われます。
これらの祭りや催しは、観光客だけでなく地域の人々にとっても大切な交流の場であり、那珂川町の活気と温かさを感じることができます。
那珂川町を代表する味覚といえば、清流・那珂川で育った鮎です。夏から秋にかけて行われる簗漁で獲れる鮎は、香り高く、町の名物として親しまれています。
また、八溝山系の自然に育まれた八溝そばは、風味豊かで多くの人に愛されています。伝統工芸品である小砂焼は、金結晶釉の美しさが特徴で、栃木県の伝統工芸品にも指定されています。
那珂川町は、清流と里山、歴史と文化、そして人の温もりが調和した町です。観光で訪れる人にとっては癒やしと発見の場であり、何度でも足を運びたくなる魅力があります。
清流の恵みを五感で楽しむまち、那珂川町。その穏やかな時間と豊かな風景は、訪れるすべての人の心に静かに寄り添ってくれることでしょう。