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矢板市

(やいたし)

自然と歴史が息づく高原のまち

矢板市は、栃木県北部に位置する自然豊かな市で、塩谷地区の行政・経済・文化の中心として発展してきました。1958年(昭和33年)に市制を施行し、現在では栃木県庁塩谷庁舎をはじめとする広域行政機関が置かれています。東京から約130km、宇都宮市から約30kmという利便性を持ちながら、四季折々の自然と静かな里山の風景に包まれた暮らしが広がっています。

高原山と清らかな水に育まれた自然環境

矢板市の最大の魅力の一つは、高原山(たかはらさん)の南麓に広がる豊かな自然環境です。市北部には山岳地帯と深い森林が広がり、箒川、荒川、内川、中川、宮川、江川などの河川が市内を縦断しています。これらの川は市民の生活を支えるとともに、美しい景観と生態系を育んできました。

特に高原山一帯は、全国名水百選に選ばれた尚仁沢湧水の水源地として知られ、「水源の森百選」「森林浴の森100選」にも選定されています。栃木県民の森や八方自然休養林、八方ヶ原などが整備され、環境教育やハイキング、森林浴を楽しめる場所として多くの人々に親しまれています。

八方ヶ原と四季折々の絶景

市北部の高原山系に広がる八方ヶ原は、標高1,000〜1,200mの台地状の高原で、矢板市を代表する観光地です。特に5月から6月にかけて咲き誇る約20万株のレンゲツツジは圧巻で、北関東有数の花の名所として知られています。

ハイキングコースやキャンプ場、展望台、季節営業の売店などが整備されており、初心者から家族連れまで気軽に自然を満喫できます。アクセス道路は塩原温泉郷へも通じており、観光ルートの一部としても魅力的です。

春は長峰公園の桜やツツジ、夏は清流での渓流釣りやキャンプ、登山が人気で、夜には満天の星空が広がります。

秋にはりんご園で実る赤い果実と黄金色の稲穂が里山を染め、冬にはスノーシューハイキングや雪遊びといった雪景色ならではの楽しみが待っています。自然の中で心身を癒したい方にとって、理想的な環境といえるでしょう。

古代から続く矢板市の歴史

歴史ロマンあふれる高原山黒曜石遺跡群

矢板市の歴史は旧石器時代にまでさかのぼります。高原山で発見された黒曜石採掘坑遺跡は、日本最古級と推定される貴重な遺跡です。約3万5千年前の人々が標高1,500m近い高地で採掘を行っていたことが明らかとなり、日本列島の旧石器文化を語る上で重要な発見となりました。

この黒曜石は遠く南関東などにも流通していたことがわかっており、当時の人々の交易範囲の広さを示しています。

中世以降は、塩谷氏や那須氏などの勢力がこの地を治め、多くの城や寺社が築かれました。木幡神社や寺山観音寺、川崎城址、御前原城址などは、現在も歴史を感じさせる貴重な文化財・史跡として残されています。

栃木県内No.1のりんごのまち

矢板市は栃木県内で生産量No.1を誇るりんごの産地です。「矢板のりんご」は減農薬・減化学肥料・無袋栽培にこだわり、太陽の光をたっぷり浴びた樹上完熟で収穫されます。蜜が入り、りんご本来の甘みと香りを存分に味わえる逸品です。

市場流通が少ないため、現地でしか味わえない特別な味覚として人気を集めています。りんごジュースやアップルパイ、ブランデーケーキなど加工品も充実しており、秋の観光シーズンには多くの来訪者でにぎわいます。

近代以降の発展と交通の要衝

近代に入ると、矢板市は塩谷郡一円の木材や家畜の集積地として栄えました。東北本線(宇都宮線)、国道4号、東北自動車道が市内を南北に貫き、現在では矢板インターチェンジを有する交通の要衝として、物流や人の往来を支えています。

かつては東武矢板線も運行されており、地域交通を担っていました。現在は廃線となっていますが、鉄道と道路が集中する地理的特性は、今もなお矢板市の大きな強みです。

温泉と食文化を楽しむ

矢板市には、古くから親しまれてきた鉱泉宿に加え、近年掘削された温泉施設も点在しています。城の湯温泉センターや矢板温泉(館の川)、コリーナ矢板の温泉などは、市民だけでなく観光客にも人気の癒やしスポットです。

また、寒冷な気候を生かしたリンゴ栽培や、幸岡ねぎなどの農産物、日本酒「十一正宗」「忠愛」などの地酒、さらに「おしらじブランド」として展開される多彩なグルメは、旅の楽しみを一層豊かなものにしてくれます。

名所・観光スポットの魅力

自然を満喫できる観光スポット

八方ヶ原

八方ヶ原(はっぽうがはら)は、市北部の高原山系に広がる標高約1,000〜1,200メートルの高原地帯です。初夏の5月から6月にかけては、約20万株にも及ぶレンゲツツジが一斉に咲き誇り、高原全体が朱色に染まる壮大な景観を楽しむことができます。

園内には整備されたハイキングコースや展望台、キャンプ場、駐車場などがあり、初心者から家族連れまで気軽に自然散策を楽しめるのが魅力です。また、アクセス道路は塩原温泉郷方面にも通じており、観光ルートの一部としても人気があります。

栃木県県民の森

八方ヶ原に隣接する栃木県県民の森は、森林と触れ合いながら学び、体験できる自然公園です。園内にはキャンプ場や展示館、少年自然の家、ハイキングコースなどが整備されており、環境学習や自然体験の場として多くの人に利用されています。

また、全国植樹祭や全国育樹祭が開催された場所としても知られ、自然と人との共生を象徴する施設となっています。

おしらじの滝

高原山の奥深くに位置するおしらじの滝は、神秘的な青色の滝壺で知られ、総合旅行情報サイトの「旅人大賞(観光スポット日本一)」に選ばれた実績を持ちます。さらにテレビ番組「めざましテレビ」では「雨の日に行きたい自然体感スポット」第2位に選出されるなど、全国的な注目を集めています。

天候や水量によって表情を変える滝の姿は、何度訪れても新しい感動を与えてくれます。自然の神秘を肌で感じられる場所として、近年は若い世代や写真愛好家にも人気です。

尚仁沢湧水

全国名水百選にも選ばれた尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい)は、高原山の豊かな森が育んだ清らかな水が湧き出る名所です。木道が整備され、森林浴を楽しみながら澄み切った水の流れを間近に感じることができます。夏でも涼しく、心身ともにリフレッシュできる癒しのスポットです。

片岡温泉周辺の里山風景

JR片岡駅周辺には、のどかな田園風景が広がっています。季節ごとに表情を変える里山の風景は、ゆったりと散策するのに最適です。秋には黄金色に輝く田んぼと澄み渡る空のコントラストが美しく、写真愛好家にも人気があります。

りんご園(観光農園)

秋の矢板市を代表する体験型観光として、りんご狩りが挙げられます。市内には複数の観光りんご園があり、もぎたての新鮮なりんごを味わうことができます。品種ごとに異なる甘みや酸味を楽しめるのも魅力のひとつです。

高原山登山コース

登山愛好家に人気の高原山登山コースでは、釈迦ヶ岳や中岳などを目指すルートが整備されています。山頂からは那須連山や日光連山を望む雄大な景色が広がり、達成感とともに自然の壮大さを実感できます。

歴史・文化に触れる名所

山縣農場・山縣有朋記念館

山縣有朋記念館は、明治の元老・山縣有朋ゆかりの施設で、小田原にあった別邸「古稀庵」の洋館を関東大震災の翌年に移築したものです。館内には、明治維新前後の貴重な遺品が常設展示され、当時の政治や文化に触れることができます。

併設される山縣農場とともに、近代日本の歴史を学ぶ貴重なスポットです。

荒井家住宅(国指定重要文化財)

荒井家住宅は、江戸時代前期の延宝年間(17世紀後半)に建てられた庄屋住宅で、国の重要文化財に指定されています。重厚な母屋や長屋門など、当時の農村建築の特徴を今に伝えています。

母屋内部は矢板市ゆかりの人物の功績を紹介する展示室となっており、歴史学習の場としても親しまれています。また、庭園には樹齢約180年の枝垂桜があり、春にはライトアップされ、多くの見物客で賑わいます。

川崎城址・御前原城址

川崎城址御前原城址は、市内に残る貴重な史跡です。御前原城址は栃木県指定史跡で、公園として整備されており、歴史散策を楽しむことができます。

寺山観音寺

杉木立に囲まれた静寂の寺院。国指定重要文化財「木造千手観音菩薩坐像」をはじめ、歴史的価値の高い文化財を有します。苔むす境内には、寺山七不思議のひとつとされる霊湯(寺山鉱泉)もあり、神秘的な雰囲気が漂います。

塩竈神社

製塩の神・塩土翁命を主祭神とする由緒ある神社で、勝海舟が晩年に揮毫したとされる扁額が残されています。交通安全や安産、商売繁盛の御神徳で知られ、市民に親しまれています。

木幡神社

延暦14年(795年)創建と伝わる古社で、本殿は国指定重要文化財。坂上田村麻呂の伝承が残り、歴史と信仰が今も息づいています。

憩いと健康の観光施設

矢板市には、赤滝鉱泉・小滝鉱泉・寺山鉱泉といった秘湯の趣を残す温泉地があります。また、城の湯温泉センターやコリーナ矢板など、気軽に利用できる施設も整い、観光客や地元住民の憩いの場となっています。

長峰公園

市街地にほど近い長峰公園は、「日本の都市公園100選」にも選ばれた名園で、特にツツジの名所として知られています。毎年春になると園内一帯が色鮮やかな花に包まれ、多くの市民や観光客で賑わいます。

JR矢板駅から徒歩約10分という好立地にあり、電車でのアクセスも良好です。自然と街が調和した矢板市らしいスポットとして、日常の散策から観光まで幅広く利用されています。

矢板温泉・城の湯温泉センター

城の湯温泉センターは、中世塩谷氏の城跡近くに整備された温泉施設で、市民の交流と憩いの場として親しまれています。落ち着いた雰囲気の中で、日頃の疲れを癒すことができます。

また、市内には赤滝鉱泉、小滝鉱泉、寺山鉱泉など、歴史ある鉱泉地も点在しています。

コリーナ矢板

コリーナ矢板は、「人間・自然・健康」をテーマにしたリゾートタウンです。自然林に囲まれた環境の中に温泉やスポーツ・レジャー施設が整備され、滞在型観光にも適しています。

立ち寄りたい施設・史跡

道の駅やいた

道の駅やいたは、地元農産物や特産品が並ぶ人気の立ち寄りスポットです。新鮮な野菜や加工品を購入できるほか、観光情報の発信拠点としても利用されています。

城の湯やすらぎの里

自然に囲まれた日帰り温泉施設城の湯やすらぎの里は、観光の合間にゆったりと身体を休めることができる憩いの場です。露天風呂からは季節ごとの景色を楽しむことができ、地元の農産物直売所も併設されているため、矢板の味覚を購入することもできます。

矢板武記念館

矢板市出身で鉄道建設に尽力した実業家・矢板武の功績を紹介する矢板武記念館は、地域の近代史を学べる施設です。東北本線の開通と地域発展の関わりを知ることができ、歴史に興味のある方におすすめのスポットです。

交通アクセスの利便性

市内にはJR東北本線(宇都宮線)の矢板駅・片岡駅があり、東北自動車道矢板ICも利用可能です。国道4号が南北に走り、関東平野から那須野が原へと続く交通の要衝となっています。

自然と共に暮らすまち

矢板市は、豊かな自然環境と歴史、そして人の温もりが調和するまちです。山々に囲まれた静かな暮らしの中で、四季の移ろいを身近に感じながら生活することができます。観光で訪れる方はもちろん、移住を検討される方にも魅力あふれる地域です。

大自然の恵み、悠久の歴史、そして地域の人々のあたたかな心に触れる旅へ――。ぜひ一度、矢板市を訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
矢板市
(やいたし)

塩谷・喜連川温泉

栃木県