三県境は、栃木県栃木市、群馬県板倉町、埼玉県加須市(北川辺地域)にまたがる特異な行政界であり、道の駅きたかわべの南東方向約500メートルの水田に位置しています。この地点は、三つの県が交わる点であり、そのため「三県境」と呼ばれています。
三県境はかつて渡良瀬川の中にありましたが、明治時代から大正時代にかけての渡良瀬川の改修工事により、現在の位置に移りました。この改修工事により、渡良瀬川の河道は現在の形になり、三県境は水田の中に位置することとなりました。
平成28年(2016年)1月から3月にかけて、栃木市、板倉町、加須市が共同で測量を実施し、その結果、三方向からの水路の交点からコンクリート製の杭が見つかり、その点が三県境と確認されました。この測量結果により、三県境の正確な位置が再確認されました。
「三県境」とは、三つの県が交わる一点を指します。全国には40か所以上の三県境がありますが、そのほとんどは山頂、尾根、河川上にあり、気軽に歩いて行ける場所にはありません。しかし、群馬県板倉町、栃木県栃木市、埼玉県加須市の三県境は、全国で唯一、歩いて行ける平地に存在しています。
この三県境は、かつて渡良瀬川の河道が現在の栃木市と板倉町の行政界を流れ、その一部が曲がりくねっていたため「海老瀬の七曲がり」と呼ばれていました。洪水の際には度々破堤し、明治43年から大正7年にかけての改修工事で現在の河道に変更されました。これにより、海老瀬の七曲がりは廃川となりました。
また、渡良瀬川の「海老瀬の七曲がり」に合流していた谷田川も、改修工事の一環として一部の河道が変更されました。これにより、廃川となった渡良瀬川と谷田川の合流箇所は渡良瀬遊水地の造成工事によって埋め立てられ、現在の平地に「歩いて行ける三県境」が生まれました。
三県境が全国でも珍しい歩いて行ける場所であることから、栃木市、加須市、板倉町が共同で遊歩道の整備を行いました。この整備により、三県境は更に訪れやすくなりました。
栃木・群馬・埼玉の三県境は、渡良瀬遊水地の谷中湖の南西に位置し、群馬県邑楽郡板倉町海老瀬、栃木県栃木市藤岡町下宮、埼玉県加須市小野袋が接しています。日本は地理的特性上、県境が山脈や河川に沿って引かれることが多いため、平地にある三県境は非常に珍しいです。
この三県境から東南東に約2.4キロメートル離れた渡良瀬川上には、茨城・栃木・埼玉の三県境も存在します。三県境を平地で訪れることができるため、観光スポットとしての注目も高まっています。
平成28年(2016年)1月から、三県境に接する栃木市、板倉町、加須市は国土地理院の助言を受けて測量を開始しました。Y字路を構成するU字溝を壊し、泥を取り除いたところ、1980年に設置された群馬県の杭が発見されました。2月9日には、三県境が確認され、コンクリート製の杭が新たに打たれました。
この調査は栃木市の発案で行われ、同年3月には県境の確定作業が終了し、加須市北川辺スポーツ遊学館で栃木市、板倉町、加須市の3首長が「行政区域境界確認書」に調印し、三県境の記念プレートが設置されました。
2016年4月以降、三県境の確定が報じられたことで、訪れる人が増え、観光資源として活用する計画が進められました。埼玉県加須市は三県境と道の駅かぞわたらせの接続を計画し、群馬県板倉町も町の名所として三県境を紹介しています。
2市1町は地方創生加速化交付金を活用し、「歩いて行ける!!平地の三県境〜関東三県の端から始める関東どまんなか連携事業」として地域の活性化を図りました。2017年には三県境と周辺の施設を巡るスタンプラリーが開催され、多くの観光客が訪れました。
訪問者の増加に対応するため、地権者から周辺の土地を買い取り、水田のあぜ道を舗装して遊歩道が整備されました。2018年4月7日に遊歩道が完成し、多くの観光客が訪れるようになりました。整備に掛かった費用は約600万円で、2市1町が均等に分担しました。
三県境は地域の重要な観光資源としてさらに注目されています。