足利市に建つ寺院で、鎌倉時代の武家屋敷の面影を偲ばせる足利一門の氏寺です。
源姓足利氏の2代目義兼が建久7年(1196年)に自邸内に持仏堂を建て、大日如来を守り本尊として祀ったことから始まりました。3代目義氏が堂塔伽藍を建立し、足利一門の氏寺となりました。
周囲には土塁と堀がめぐらされた寺域はほぼ正方形で、約40,000平方メートルの広さを持ち、鎌倉時代の武家屋敷の面影を今に伝えています。地元の市民には『大日様』と親しまれています。
本堂は鎌倉時代に、当時の中国で最新の寺院建築様式である禅宗様を早くも取り入れたものです。禅宗様の仏堂としては密教寺院で初期の例であり、また関東地方における禅宗様の古い例としても貴重な文化財です。2013年に国宝に指定されました。
本堂のご本尊は胎蔵内大日如来で、申年と未年の守り本尊です。後方の壇には弘法や興教の二大師、開基である鑁阿上人(足利義兼)の像が祀られています。また、明治維新までに堀の外にあった塔頭の十二支院の本尊もここに安置されています。
1922年(大正11年)には足利氏宅跡として国の史跡に指定されました。
毎年2月の節分の日には鎧年越し行列が行われ、勇壮な足利武者の行事として名高いです。
本堂は国宝、鐘楼、経蔵は国の重要文化財に指定されています。春はサクラ、秋はいちょうの黄葉が、季節の彩りで包みます。
敷地は約4万平方メートルもあり、もともとは足利氏の屋敷でした。現在でも四方に門があり、土塁と堀が巡らされており、平安時代後期の武士の屋敷の面影が残されています。
このため、「史跡足利氏宅跡」として大正10年に国の史跡に指定され、現在では「日本の名城百選」にも選ばれています。
鎌倉時代初期の建久7年に源姓足利氏の2代目である足利義兼が発心得度し、自邸内に持仏堂を建てたのが寺院の始まりとされています。
義兼の死後、その子である義氏が建立した本堂は1229年に落雷によって焼失しましたが、足利貞氏が禅宗様式を取り入れて改修しました。これは日本における禅宗様式への転換期の最初期にあたります。
鎌倉時代から室町時代にかけて、鑁阿寺は次第に寺院として整備され、室町将軍家や鎌倉公方家などによって足利氏の氏寺として庇護されました。
境内には本堂のほかにも鐘楼や一切経堂が国の重要文化財となっています。また、東門、西門、楼門、多宝塔、御霊屋、太鼓橋なども栃木県指定の建造物となっており、市指定の建造物も多数存在します。
さらに、彫刻や文書、美術工芸品など、中世以来の貴重な宝物も多く残されており、現代まで受け継がれています。
地元の市民の間では古くから「大日様」と呼ばれて親しまれています。
栃木県足利市家富町にある鑁阿寺(ばんなじ)は、真言宗大日派の本山です。足利氏の氏寺として知られ、国の史跡に指定されています。また、本堂は国宝に指定され、日本100名城の一つにも数えられています。
鑁阿寺の正式な寺号は「金剛山 仁王院 法華坊 鑁阿寺」といいます。寺内には大日如来を本尊として祀っています。
かつて鑁阿寺は足利氏の館(やかた)であり、今でも四方に門があり、境内を取り囲むように土塁と堀が存在し、鎌倉時代前後の武士の館の面影を今に伝えています。
歴史・沿革
12世紀半ば - 足利氏の祖・源義康がこの地に居館(足利氏館)を築きます。
1196年(建久7年) - 足利義兼(戒名:鑁阿)が理真を招いて、自宅の居館に大日如来を祀る持仏堂や堀内御堂を建立します。
1234年(文暦元年) - 足利義氏が寺院を整備し、足利氏の氏寺となります。
南北朝時代 - 鑁阿寺は鶴岡八幡宮の支配下に置かれます。
1908年(明治41年) - 鑁阿寺本堂が古社寺保存法に基づく特別保護建造物(現在の重要文化財に相当)に指定されます。
1922年(大正11年)3月8日 - 「足利氏宅跡」として国の史跡に指定されます。
1950年(昭和25年) - 本堂は文化財保護法の制定により、重要文化財となります。
1951年(昭和26年) - 鑁阿寺は真言宗豊山派から大日派として独立します。
2006年(平成18年)4月6日 - 「足利氏館」として日本100名城(15番目)に選定されます。
2013年(平成25年)8月7日 - 本堂が国宝に指定されます。
文化財
本堂
入母屋造りで屋根は本瓦で覆われています。幅5間、奥行き5間の構造です。「間」は柱の間隔を指す単位です。建立は正安元年(1299年)ですが、応永14年から永享4年(1407年 - 1432年)にかけて大規模な改築が行われました。この時には柱が全て取り替えられ、正面に向拝が追加されました。平面構成は前方2間が外陣であり、後方3間が内陣と脇陣で構成された密教仏堂の形式ですが、建築様式は禅宗様を基調としています。組物は詰組とされ、柱には粽(ちまき)が使われ、扉は桟唐戸、壁は竪板壁となっています。これらは禅宗様の特徴ですが、組入天井や板敷きの床など和様の要素も取り入れられています。禅宗様仏堂の初期の例として密教寺院であり、関東地方においても貴重な存在です。2013年に国宝に指定されました。
重要文化財(国指定)
鐘楼
経堂
金銅鑁字御正体
青磁浮牡丹香炉1口、青磁浮牡丹花瓶2口
仮名法華経「巻第一」には元徳2年(1330年)の奥書があります
鑁阿寺文書 36巻、8冊、7幅(615通)
魯論抄5冊 足利学校第7代庠主(校長)である玉崗瑞璵(別名:九華)による論語の自筆注釈書。魯論抄の現存する唯一の古写本です。
9:00~16:00
拝観無料
本堂、一切経堂の中を拝観するときは、15人以下が一律6,000円
電車・バス:JR両毛線 足利駅 北口から徒歩約10分
東武伊勢崎線 足利市駅 北口から徒歩約15分
車:北関東自動車道 足利ICから約10分